『STYLE』は、共通の制作言語を中心にまとめられたデビュー盤である。コロムビアの現行資料による初発売は1988年5月21日、最初のLP番号はAF-7485。本項で採用する版は、2026年7月18日発売のクリア・ディープ・ブルー・ヴァイナル、COJA-9588で、全十曲を収録する。二つの日付は作品の登場と、特定の版の製造という別の出来事を表す。その区別は文化史にも役立つ。ある時点で買い、集め、出会える物は、曲目が保たれていても、最初に音楽を流通させた媒体と同じではない。再発は過去を残しながら、現在の形も与える。
鈴木茂の中心的な役割は、プロデューサーという一行だけにあるのではない。タワーの曲別資料は全曲の編曲を鈴木とするが、創作の分担は一様ではない。松本隆は五曲を作詞し、そのうち四曲が鈴木の作曲、「黒いマニキュア」は木村の作曲だ。この違いは、歌手を主要な共同作業の外にいる受け手ではなく、その内側へ置く。共通の編曲家は異なる作者をつなぎながら、各人の責任も残せる。こう読むなら一枚の統一感は、調整された関係から生まれる。一人が全部を書いたとか、歌手は何も書かなかったと誤解する必要はない。
残る五曲は、編曲が受け持つ範囲を広げる。「シンジラレネーション」は木村の詞と杉真理の曲。湯川れい子は鈴木作曲の「コルトレーンで愛して」と、門あさ美作曲の「シャレード’88」を作詞した。「Do You Remember Me」は安井かずみと加藤和彦の組み合わせであり、「Good-bye Eggman」は木村が詞曲を担う。この違いによって、『STYLE』を有名な制作陣の署名へ縮めず、一枚のアルバムとして読むことができる。まとまりは複数の生成経路を受け止めなければならない。演唱の結果を評価する前にも、クレジットはその多様さを保存している。
二面のプログラムは、協働に具体的な形を与える。A面は「Good Morning」で始まり、「泉に誘って」「電話しないで」を通って、「シンジラレネーション」「水の都」へ進む。B面はコルトレーンへの言及から始まり、「Do You Remember Me」「黒いマニキュア」「Good-bye Eggman」「シャレード’88」を並べる。これで連続した物語や時間ごとの行程が証明されるわけではない。ただ、挨拶、誘い、拒否、記憶、別れという語彙の変化は見える。題名を読む限りでも、他者へ話しかける方法が複数あり、それぞれに違う距離の取り方が組み込まれている。
コロムビアの演奏者一覧も、制作の規模を可視化する。複数のキーボード奏者とベーシスト、二人のドラマー、エレクトリックとアコースティックのギター、パーカッションが並ぶ。鈴木はベースとエレクトリック・ギターの両方に記され、今剛、吉川忠英もそれぞれのギター欄に登場する。これはアルバム単位の資料であり、「電話しないで」の特定の箇所を誰が演奏したかはわからない。価値は別のところにある。楽器ごとの専門的な仕事を組み合わせた制作を記録するのだ。スタジオの洗練を自然発生する匿名の効果とせず、完成した名義の背後に組織された労働を見ることができる。
「Do You Remember Me」は、その場に時間の奥行きも加える。Stradaの資料は岡崎友紀の曲を取り上げたものと説明している。すでに存在した歌と、新しく紹介される歌手が、一つのプログラムで出会う。それは個性の障害ではない。既存の素材をどこへ置くかも、アルバムが自身の範囲を定める方法になる。ここでは「コルトレーンで愛して」と、木村自身が作曲した「黒いマニキュア」のあいだにある。解釈、参照、作者としての仕事が隣り合う場所として読めるのであり、それらを同一のものにする必要はない。
後年の各版には、流通が続く複数の形がある。Billboard Japanは1993年のCD、COCA-11104を記録し、タワーは2009年のオンデマンドCD、CORR-10383を載せる。JET SET期のLPはJSLP080として販売資料に残る。コロムビアの配信版COKM-43025の日付は2020年11月。2026年のカラー盤はCITY POP on VINYLに参加し、金澤寿和の解説クレジットも付く。旧作へのアクセス、デジタル上の項目、催事のために選ばれた物体という、異なる需要への応答だ。一つだけで世界的な突然の発見は証明されず、曲名と曲順の一致でも音源マスターの同一性は確定しない。
したがって『STYLE』という語は、適切で開かれた題名になる。制作以前に誰かが独占していた人格より、複数の貢献を調整したときに生まれる、識別できる形を意味しうる。木村のデビュー盤には本人の創作、カヴァー、熟練した作詞家、複数の作曲家、それらを結ぶ編曲家がいる。その後の生命にも、目録を作り、選び、解説し、再発する人が関わる。これらの具体的な関係を見ることで、一枚を想像上の八〇年代の雰囲気を示す記号だけにしなくてすむ。協働によって個性を持ち、複数の方向から理解できる十曲のプログラムこそ、興味深い対象なのである。