隣というのは、いかにも都市らしい距離だ。壁を共有するほど近くても、その向こうに誰がいるか知らないことがある。当山ひとみの1983年の三作目『NEXT DOOR』は、その普通の位置を題名にする。公式曲順は「エキゾティック横顔」で始まり、「アワ・ラヴリー・デイズ」で終わる。異国めいた横顔と、私たちの愛しい日々。同じ一覧にあるその言葉は、少なくとも題名の上では、親しさと未知を二者択一にしない。
この敷居から、ポップスの日常の尺度を考えられる。都市文化は必ずしも摩天楼の全景から始まらず、横顔、外されるサングラス、昨日と呼ばれる関係からも始められる。題名を実際の出来事の証拠として扱うのではなく、経験にどんな名前を与えるかという選択として見るのだ。都会の大きな宣言と比べると、『NEXT DOOR』には社交的な控えめさがある。隣の場所を指しても、ノックすべきかまでは決めない。
その扉は、後に別の方法でも開かれた。日本コロムビアの公式告知では、Night Tempoが2024年に冒頭曲を再構成したことが確認できる。この続きの事実を、アルバム全体の運命が突然変わる物語へ膨らませる必要はない。古い作品が新しい仕事の素材になり、元の録音と新しい版にはそれぞれの時間があるとわかれば十分だ。再び呼ばれる名前は新しい聴き手を招き、最初に出会った版を確かめるきっかけにもなる。
『NEXT DOOR』には、題名の地理的な近さと、新しい版が古い録音を現在へ近づける時間的な近さがある。どちらも自動的な親密さではなく、具体的な作品との出会いを必要とする。シティポップの地図でも、普通の建物をすぐ高層ビルへ描き替えず、扉の大きさを保っておきたい。目を引く入口は人を近づけ、一枚全体は滞在の長さを選ばせる。隣のよさとは、そこにありながら、まだ知り尽くしたつもりになれないことかもしれない。