『SPACY』という名前は、果てのない宇宙を連想させる。けれどレコードは、境界のはっきりした物体だ。1977年に発表された山下達郎の二作目のソロ・アルバムで、『CIRCUS TOWN』に続く作品である。宇宙船に乗せる前に、二つの面に歌をどう置くかという身近な問題を考えたい。ある音が去って、次の音が入ってくる余地。空間とは、まずそんな関係として捉えることもできる。
公式の曲順では「LOVE SPACE」が入口となり、「SOLID SLIDER」が最後を受け持つ。その間には「素敵な午後は」や「言えなかった言葉を」という、日常の大きさに近い題名がある。外へ広がるような英語と、生活へ戻ってくる日本語。その配置から、広さと親密さが同じ器に収まる構図を読み取れる。これは題名と順序についての解釈であり、歌を作者の私生活の記録とみなす話ではない。
二作目という位置には独特の面白さがある。一作目で入場券を手に入れたあと、その部屋をどう使うのか。そんな比喩を山下本人の心境にすり替える必要はない。むしろ、後年の名盤一覧をいったん閉じて、この作品をまだ結論の出ていない配列として扱うための視点だ。大きな題名にも、小さな出来事を思わせる題名にも場所がある。すべての曲が将来の代表作という看板を掲げる義務はない。
シティポップの地図では、道が有名な目的地へ集中しやすい。しかし『SPACY』には、途中で足を止める理由がある。二つの面の区切り、最初と最後の語感、言語をまたぐ曲名が、一枚という単位を保っている。歴史上の重要性だけを褒め言葉にすると、その具体的な輪郭が見えにくくなる。後の山下達郎を予告するだけでなく、1977年のこの歌の集まりを残すこと。空間は征服されたのではなく、丁寧に割り振られた。そんな読み方が似合う作品である。